山の軽口ばなし「奥秩父・金峰山」
山の軽口ばなし「奥秩父・金峰山」
【本文】
奥秩父の金峰山は、山梨県甲府市
と長野県南佐久郡川上村との境にあ
る山です。いまでこそJR中央本線
塩山駅から大弛峠まで車で入り、山
頂往復日帰り登山の対象なっていま
す。また山頂からすぐそこまでカラ
マツの植林がせまっていますが、か
つては奥秩父特有の原始林でおおわ
れ神秘的な山だったといいます。
この山は金峰山と書いて南ろくの
山梨県側では「きんぷさん」とか「き
んぷうさん」、また北ろくの長野県側
では「きんぽうさん」と呼ぶそうで
す。金峰山と書く山は『日本山名事
典』(三省堂)でみても10座を超えて
います。たいがいは山頂に金峰神社
が祭ってあり、奈良県吉野の金峰山
(吉野では「きんぷせん」と呼ぶ)
と関係がありそうです。
奥秩父の金峰山も山頂五丈石の基
部に金峰山神社の祠があります。国
家鎮護の霊地として日本武尊が山頂
に社殿造営。素戔嗚尊(すさのおの
みこと)と大己貴命(おおなむちの
みこと)を合祀(ごうし)したのだ
そうです。山梨県甲府市御岳町の金
桜神社の由緒(社記)によれば、こ
こはかつて金丸山といっていたとい
います。さらに飛鳥時代(文武(も
んむ)天皇のころ)になって、大和
金峰山から蔵王権現を勧請し、本宮
(山宮)と里宮にまつったため、金
峰山と改称したということになって
いるそうです。
また金峰山神社は、この山の長野
県側山ろくにも数ヶ所あります。そ
の金峰山縁起には、やはり飛鳥時代、
奈良葛城山で修行し吉野金峰山で蔵
王権現を感得したという役行者が、
中山道を東国に向かって諸国行脚を
していました。行者がちょうど塩名
田橋(しおなたばし・いまの長野県
佐久市・旧北佐久郡浅科村)にさし
かかった時、ふと川面をみると梵字
(ぼんじ)が浮いて流れてくるのが
見えました。
行者はこの川上に霊神がいると悟
り、千曲川に沿って長野県南佐久郡
川上村川端下集落に入り金峰山に登
ります。途中いろいな不思議な人物
や動物に案内され、6月16日の黄昏
時についに山頂につきました。「お姿
を配させ給え」行者が念じるとたち
まち蔵王権現があらわれました。
そして「われはその往古(かみ)
より、吉野金峰に鎮座すると雖(い
えど)も、坂東へは遠く普(あまね)
く衆生を度(わた)し難し。よって
毎月一日より望(もち・15日)まで
は吉野金峰山に鎮座し、望より下旬
までこの峰に分身を移して群生(ぐ
んじょう・一切衆生・しゅうせい)
を利するなり。されども未だ知る者
あらず。汝(なんじ)東国の衆生(し
ゅじょう)に我れ住山を知らすべし」
とお告げをして姿を消したというの
です。
以来金峰山は、蔵王権現をまつる
山としてまた修験道の山として栄え
たという。この長野県側の金峰山縁
起が伝説が先か、山梨県側の金桜神
社の由緒(社記)が先かは分かりま
せんが、とにかく飛鳥時代の文武天
皇のころに、奈良吉野金峰山の蔵王
権現の分身が、この秩父の金峰山に
まつられたようです。
▼金峰山【データ】
・山名:きんぷさん・きんぷぜ
ん・きんぷうさん・きんぽうざ
ん・きんぷざん
★【異名・由来】
・異名:幾日峰(いくひのみね)
★【所在地】
【JR中央線塩山駅から】:
・山梨県甲府市と長野県南佐久郡川
上村との境。JR中央本線韮崎駅の北
東24キロ。中央本線塩山駅からタク
シー・大弛峠から歩いて1時間45分で
金峰山(きんぷさん)。五丈岩と三等
三角点(2595.03m)と標高点(2599
m)、金桜神社の山宮(本宮)跡があ
る。地形図に山名と三角点の標高と
標高点の標高の記載あり。三角点より
北西方向380mに金峰山小屋がある。
【JR小海線信濃川上駅から】:
・駅からバス終点川端下下車、4時
間30分で金峰山(きんぷさん)。
【増富温泉・富士見平から】:
・JR中央線韮崎駅からバス増富温
泉から瑞牆山荘経由、7時間で金峰
山(きんぷさん)。
★【名山】
・『日本百名山」(深田久弥選定):第
68番に選定(日本二百名山、日本三
百名山にも含まれる)
・『新日本百名山」(岩崎元郎選定):
第47番に選定
・『山梨百名山」(山梨県選定):第7
番に選定
・『信州百名山」(清水栄一選定):第
48 番に選定
・『花の百名山」(田中澄江選定・1981
年):第51番に選定
★【位置】国土地理院「電子国土ポー
タルWebシステム」から検索
・標高点:北緯35度52分17.81秒、東
経138度37分31.69秒
・三角点:北緯35度52分17.4092秒、
東経138度37分31.1284秒
★【地図】
・2万5千分の1地形図「金峰山(甲
府)」+「瑞牆山(甲府)」(2図葉名
と重なる)。
▼【参考文献】
・『山岳宗教史研究叢書・17」(修験
道史料集1・東日本編)五来重編(名
著出版)1983年(昭和58)
・『日本歴史地名大系・長野」(平凡
社)1990年(平成2)
・『日本歴史地名大系・山梨』(平凡
社)1995年(平成7)
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https://toki.moo.jp/cd-mihon/cd-mihon.html
・01『新・丹沢山ものがたり』
・02『全国の山・天狗ばなし』
・03『山の神々いらすと紀行』
・04『続・山の神々いらすと紀行』
・05『ふるさとの神々何でも事典』
・06『続・ふるさとの神々事典』
・07『野の本・山の本』ほか
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https://toki.moo.jp/
★おわり
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【本文】
奥秩父の金峰山は、山梨県甲府市
と長野県南佐久郡川上村との境にあ
る山です。いまでこそJR中央本線
塩山駅から大弛峠まで車で入り、山
頂往復日帰り登山の対象なっていま
す。また山頂からすぐそこまでカラ
マツの植林がせまっていますが、か
つては奥秩父特有の原始林でおおわ
れ神秘的な山だったといいます。
この山は金峰山と書いて南ろくの
山梨県側では「きんぷさん」とか「き
んぷうさん」、また北ろくの長野県側
では「きんぽうさん」と呼ぶそうで
す。金峰山と書く山は『日本山名事
典』(三省堂)でみても10座を超えて
います。たいがいは山頂に金峰神社
が祭ってあり、奈良県吉野の金峰山
(吉野では「きんぷせん」と呼ぶ)
と関係がありそうです。
奥秩父の金峰山も山頂五丈石の基
部に金峰山神社の祠があります。国
家鎮護の霊地として日本武尊が山頂
に社殿造営。素戔嗚尊(すさのおの
みこと)と大己貴命(おおなむちの
みこと)を合祀(ごうし)したのだ
そうです。山梨県甲府市御岳町の金
桜神社の由緒(社記)によれば、こ
こはかつて金丸山といっていたとい
います。さらに飛鳥時代(文武(も
んむ)天皇のころ)になって、大和
金峰山から蔵王権現を勧請し、本宮
(山宮)と里宮にまつったため、金
峰山と改称したということになって
いるそうです。
また金峰山神社は、この山の長野
県側山ろくにも数ヶ所あります。そ
の金峰山縁起には、やはり飛鳥時代、
奈良葛城山で修行し吉野金峰山で蔵
王権現を感得したという役行者が、
中山道を東国に向かって諸国行脚を
していました。行者がちょうど塩名
田橋(しおなたばし・いまの長野県
佐久市・旧北佐久郡浅科村)にさし
かかった時、ふと川面をみると梵字
(ぼんじ)が浮いて流れてくるのが
見えました。
行者はこの川上に霊神がいると悟
り、千曲川に沿って長野県南佐久郡
川上村川端下集落に入り金峰山に登
ります。途中いろいな不思議な人物
や動物に案内され、6月16日の黄昏
時についに山頂につきました。「お姿
を配させ給え」行者が念じるとたち
まち蔵王権現があらわれました。
そして「われはその往古(かみ)
より、吉野金峰に鎮座すると雖(い
えど)も、坂東へは遠く普(あまね)
く衆生を度(わた)し難し。よって
毎月一日より望(もち・15日)まで
は吉野金峰山に鎮座し、望より下旬
までこの峰に分身を移して群生(ぐ
んじょう・一切衆生・しゅうせい)
を利するなり。されども未だ知る者
あらず。汝(なんじ)東国の衆生(し
ゅじょう)に我れ住山を知らすべし」
とお告げをして姿を消したというの
です。
以来金峰山は、蔵王権現をまつる
山としてまた修験道の山として栄え
たという。この長野県側の金峰山縁
起が伝説が先か、山梨県側の金桜神
社の由緒(社記)が先かは分かりま
せんが、とにかく飛鳥時代の文武天
皇のころに、奈良吉野金峰山の蔵王
権現の分身が、この秩父の金峰山に
まつられたようです。
▼金峰山【データ】
・山名:きんぷさん・きんぷぜ
ん・きんぷうさん・きんぽうざ
ん・きんぷざん
★【異名・由来】
・異名:幾日峰(いくひのみね)
★【所在地】
【JR中央線塩山駅から】:
・山梨県甲府市と長野県南佐久郡川
上村との境。JR中央本線韮崎駅の北
東24キロ。中央本線塩山駅からタク
シー・大弛峠から歩いて1時間45分で
金峰山(きんぷさん)。五丈岩と三等
三角点(2595.03m)と標高点(2599
m)、金桜神社の山宮(本宮)跡があ
る。地形図に山名と三角点の標高と
標高点の標高の記載あり。三角点より
北西方向380mに金峰山小屋がある。
【JR小海線信濃川上駅から】:
・駅からバス終点川端下下車、4時
間30分で金峰山(きんぷさん)。
【増富温泉・富士見平から】:
・JR中央線韮崎駅からバス増富温
泉から瑞牆山荘経由、7時間で金峰
山(きんぷさん)。
★【名山】
・『日本百名山」(深田久弥選定):第
68番に選定(日本二百名山、日本三
百名山にも含まれる)
・『新日本百名山」(岩崎元郎選定):
第47番に選定
・『山梨百名山」(山梨県選定):第7
番に選定
・『信州百名山」(清水栄一選定):第
48 番に選定
・『花の百名山」(田中澄江選定・1981
年):第51番に選定
★【位置】国土地理院「電子国土ポー
タルWebシステム」から検索
・標高点:北緯35度52分17.81秒、東
経138度37分31.69秒
・三角点:北緯35度52分17.4092秒、
東経138度37分31.1284秒
★【地図】
・2万5千分の1地形図「金峰山(甲
府)」+「瑞牆山(甲府)」(2図葉名
と重なる)。
▼【参考文献】
・『山岳宗教史研究叢書・17」(修験
道史料集1・東日本編)五来重編(名
著出版)1983年(昭和58)
・『日本歴史地名大系・長野」(平凡
社)1990年(平成2)
・『日本歴史地名大系・山梨』(平凡
社)1995年(平成7)
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・01『新・丹沢山ものがたり』
・02『全国の山・天狗ばなし』
・03『山の神々いらすと紀行』
・04『続・山の神々いらすと紀行』
・05『ふるさとの神々何でも事典』
・06『続・ふるさとの神々事典』
・07『野の本・山の本』ほか
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- 2024年11月03日
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