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▼【ひとり画ッテン】:
山里の変な神々「ヤブの中にも藪神さま」

【概略文】
 昔の人は薮の中にも神さまがいると考えま
した。この神はおもに中国地方、四国、九州
で信仰されているようです。村の一隅、また
屋敷の中の隅にある薮の中にまつられる神
で、しばしば人に祟るといいます。まつられ
るといっても立派な社はなく、小さな祠がポ
ツンとあるだけのものが多い。

 地方でいわれる「ヤブサ神」、「ヤボサ神」
と同じものとも考えられるといいます。人々
は何かのはずみで旅人や奉公人などを殺して
しまったとき、その霊が祟るのを怖がり、山
伏や法印、巫女(みこ)などに相談し、祠を
つくり薮神としてまつりしました。

 また、地面から得体の知れない墓石や、無
縁仏の古い墓地などを掘り返し、僧侶などに
頼んでまつったりした薮神もあります。薮神
の中には、奈良県南部のように、薮から出て
こどもを驚かしたり、佐賀県の小川島では時
々夢枕にも立つという。ここでは畑の隅に残
した木立に宿っているといい「ヤボ神」とい
うそうです。

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▼【ひとり画ッテン】:
山里の変な神々「鬼扱いされた神さま」

【概略説明】
 東京近郊でもよく耳にする一言主神社。こ
の神は吉兆を一言で告げるとされ多くの人が
参詣に訪れ、神社札などを貰い受けています。
その総元締めは、奈良県御所市に鎮座する一
言主神社です。葛城山(いまの金剛山)の神
です。この神は『古事記』には、雄略天皇を
恐縮させ、太刀、弓矢、衣服などを献上させ
たとあります。

 しかし同じ神が、役行者には鬼として扱わ
れたというのです。ある時、行者が全国の鬼
神たちを集め、葛城山と吉野金峰山との間に
岩で橋を突貫工事でつくるよう命じました。
そのなかに一言主神もいました。行者のあま
りの厳しさに一言主は「そんなにいうなら、
もう働きません」と反抗。怒った行者は、呪
術で一言主神を縛り、谷底に閉じこめてしま
いました。

 鬼だけでなく黒蛇になって谷に捨てられ、
いまでは恨む気力もなくなり、萎えてしまっ
ていると書く本まであります。その谷こそ金
剛山東方・御所市西にある「蛇谷」だとして
います。
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奇神変神「山の怪人・山男」

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▼山と里【ひとり画ッテン】:
奇神変神「山の怪人・山男」

【概略文】
 神奈川県の箱根に山男というものがいまし
た。裸の上に木の葉や樹皮をまとい、山奥に
住み魚を捕るのを仕事にして市の立つ日に来
て、魚と米を交換して絶壁のようなところを
飛ぶように帰っていくといいます。無口でよ
けいな話をせず、どこに住んでいるのか分か
りませんでした。

 小田原の城主もこれを知っていて、人に害
を加えることもないので絶対に鉄砲などで撃
ってはならないとしていたといいます。どこ
に住んでいるのか確かめようと、あとを追い
ますが、絶壁のような道のないところを鳥が
飛ぶごとくに走り去るので追いつかなかった
といいます。

 柳田國男の「山人外伝資料」(1913年・大
正2)では、古書から山人の盛衰を五期に分
け、第一期を国津神時代・第二期は鬼時代・
第三期は山神時代・第四期は猿時代・第五期
を山人史解明時代としています。そして「山
人とは我々の祖先に逐われて山地に入り込ん
だ前住民の末である」としています。
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▼山と里【ひとり画ッテン】:
奇神変神「房総鹿野山の鬼」

【概略説明】
 房総丘陵の北端に位置する鹿野山は、標高
に似合わず浸食は深く九十九谷を形成してい
ます。その昔、ここのあたりには阿久留王(あ
くる)という鬼が住んでいたのだそうです。
鬼は、日本武尊に亡ぼされるまでは、あたり
一帯を支配する製鉄部族の王だと伝えます。

 鹿野山は「金属が生まれる」と書く「かの
うざん・金生山」が語源との説もあります。
そういえば日本武尊は製鉄部族をねらって平
定して歩いていたとされています。日本武尊
と戦い、敗れた阿久留王は、鹿野山西方の鬼
泪山(きなだやま)まで逃げ、涙を流して命
乞いをしたといいます。

 しかし、日本武尊は許さず、そこで相当な
ことが行われたらしいといいます。その証拠
に鬼泪山北麓を流れる染川(血染川)は、王
一族の血が三日三晩にわたって流れた川とい
い、それが腐ってそそいだ所に東京湾の千種
浦(血臭浦・富津市千種新田)があります。
王の墓はいまもゴルフ場わきの山林の中で製
鉄の関連会社に供養されていうます。

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いなかの神々「疲ダル、冷や汗?峠の神」

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疲ダル、冷や汗?峠の神

【概略説明】
 山に上下と書いて峠でとうげ。峠は漢字で
はなく、日本で作った文字で「国字」だそう
です。いまでこそトンネルを掘って道を作り
ますが、ムカシは山を越えるときは、山と山
の鞍部(あんぶ)に道をつけ、向こう側の村
へ用を足しに行くのでありました。

 その鞍部を峠といいます。「とうげ」はタ
ワゴエのなまったものといわれます。タワと
は山歩きで耳にする、また地図にもある「○
○のタワ」などのあれです。早い話がたわん
でいるところ、つまり山と山との鞍部や尾根
の上の鞍部のことなのであります。

 そこを越えるのがタワゴエ。これが時代が
たつにしたがい、タワゴエ、タウゲエ、タウ
ゲ、トウゲになったのでありますと。ムカシ
の人は、この峠にも神がおわすと考えました。

 峠神は柴折り神、柴神ともいい、峠にホコ
ラを建てたりしてまつります。山を歩いてい
ると、極度の疲労や、お腹のすくことがあり
ます。それを防ぐために柴を折って峠神に供
えます。

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